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株式会社移行のメリット・デメリット

特例有限会社のメリット・デメリット


   メリット 1:役員任期が無制限

    新会社法における株式会社は、役員任期に制限があります。

    しかし特例有限会社は新会社法施行前と同様に、役員任期に制限がありま
    せん。

    つまり、株式会社が役員の交代がなくとも任期が来たら“重任登記”しなけれ
    ばならないのに対して、特例有限会社の場合は、役員の変更、交代がなけ
    れば、登記の必要がないのです。


   メリット 2:決算公告不要

    株式会社には、定時株主総会後遅滞なく決算書類を公告する義務がありま
    す。

    しかし特例有限会社は、実態は「株式会社」であるにもかかわらず、決算公
    告義務がありません。

    決算公告は手間がかかるだけでなく、費用もかさみます。

    最もポピュラーな方法である「官報公告」でも6〜10万円の費用がかかりま
    す。

    この費用は毎年かかってくるわけですから、決算公告義務の不要はコスト面
    での大きなメリットといえるでしょう。


   メリット 3:「移行コスト」がかからない

    特例有限会社から株式会社に移行するには、様々なコストがかかります。

    商号変更登記に伴う「法定コスト(最低6万円)」はもちろんのこと、そのほか
    にも、看板、名刺、封筒、会社印鑑など、社名変更に伴って様式を変更すべき
    ものはたくさんあります。

    そしてそれらを一気にやってしまうと、膨大な費用になってしまう可能性もあり
    ます。

    特例有限会社のままでいるという選択は、それらのコストや労力を節約して
    従来どおりの会社経営をすることができるメリットがあるのです。

   デメリット 1:対外的信用力

    新会社法施行以後に設立される「物的会社」は全て「株式会社」になります。

    そんな中で「有限会社」であり続けることは、“歴史のある会社”、“老舗”という
    プラスの印象を持たれる反面、“古臭い”、“小さい”といったイメージがつきま
    といます。

    もちろんこれらは、業界動向や取引先、地域性などによる相対的なものでは
    ありますが、3〜5年で現在存在する会社の約90%が入れ替わるビジネス
    社会においては、「特例有限会社」は“特殊な存在”になるということは、
    考えておく必要があるでしょう


   デメリット 2:不自由な機関設計

    特例有限会社に設置が許された会社機関は「株主総会」、「取締役」、「代表
    取締役(ただし、取締役が一人のときは設置できない)」、「監査役(会計監査
    のみ)」に限られます。

    そのため、「取締役会」や業務監査のできる「監査役」を置くことによる、機動
    的な経営や、「会計参与」を設置することによる計算書類の信頼性の確保など
    機関設計の自由化によるメリットが享受できません。


    ※そのほかにも「株式譲渡制限の定めを変更できない」、「合併後の存続会
     社になれない」といったデメリットがあります。


株式会社移行のメリット・デメリット

   メリット 1:企業イメージの向上

    株式会社移行の最大のメリットが、この企業イメージの向上です。

    私は仕事柄、「拠点を全国に展開している有限会社」や「資本金1億円以上
    の有限会社」があることを知っていますが、残念ながら「有限会社」と「株式
    会社」の世間的なイメージは、大きな開きがあることも事実です。

    こうした長年にわたって染み付いた潜在的イメージはなかなか拭い去れるも
    のではありません。

    しかも新会社法施行以後新設される「物的会社」は全て「株式会社」になるわ
    けですから、今後「株式会社」の数が圧倒的に増えてくるのは間違いありませ
    ん。

    そんな中で「有限会社」であるというだけで消費者や取引先の選択肢からは
    ずされてしまう可能性もでてきます。

    もちろん提供する商品・サービスこそが最大のセールポイントになるのは間
    違いないことですが最初から選択肢からはずされるということは、「戦略」とし
    て避けたいところです。

    また、特例有限会社から移行した株式会社には、従来の株式会社よりも大き
    なプラスイメージを持ってもらえる可能性があります。

    それは「時代の変化に即応できる会社」というイメージ。

    こうした前向きなイメージは、大きなメリットになります。

    さらに、一般的はデメリットと思われる「決算公告義務」も使いようによっては
    メリットに転じることも可能です。

    「しっかりした計算書類を作り」なおかつ「それを公開している」ということは、
    経営の透明性や実績をアピールすることになり、投資や融資の判断材料にも
    なります。

  
  メリット 2:新会社法のフル活用

    新会社法では、「株式会社」、「合同会社」、「合名会社」、「合資会社」の4形
    態のみが本来の適用の対象であり、「特例有限会社」は基本的に枠の外に
    おかれています。

    特例有限会社はあくまでも“特例”であるというスタンスです。

    そのため、特例有限会社のままでは新会社法の諸規定をフル活用できない
    ことがあります。

    代表的なのが機関設計でしょうか。

    特例有限会社が4つの機関(しかも条件付で)しか設置できないのに対して、
    株式会社は20以上のパターンから選択することが可能です。

    機関設計一つとってもこれだけの差がつけられているのです。

    新会社法をフル活用することで会社の経営・運営を効率化できることを考えれ
    ば、株式会社への移行は大きなメリットをもたらします。


  デメリット1:移行コストの問題

    コインの裏表のようなもので、特例有限会社にとってメリットになる「移行コス
    ト」の問題は、株式会社への移行に関してはデメリットになります。

    たとえ一時的なものではあっても、数十万円のコストがかかることはデメリット
    と言って良いでしょう。


  デメリット 2:特例有限会社のメリットが享受できない

    一度株式会社に移行すると特例有限会社に戻ることはできません。

    新会社法においては、特例有限会社はあくまでも“特例”としての存在であり
    原則に立ち戻ったものが再び“特例”を適用されることはないのです。

    ですから、特例有限会社のメリットを再び享受することはできなくなるのです。


「特例有限会社」と「株式会社」どちらを選べば良いのか?

  簡単に言ってしまうと、「現状維持なら特例有限会社」「会社や事業の拡大、
  発展を目指すなら株式会社」ということでしょう。

  現実的にいえば、闇雲に株式会社へ移行する必要のない会社もありますし、逆に
  早く手を打って株式会社に移行したほうがいい、と思われる会社もあります。

  会社の現状と将来を見据えた上で、できるだけ早い段階で最適な選択をすべきで
  しょう。


  まぁ、専門家としての本音を言ってしまえば……有限会社から株式会社に変更し
  たからと言って会社の業績が“劇的に”変わるわけでもありません。

  競合他社との差別化や企業イメージの向上、事業の戦略的展開を図りたければ
  早い段階での選択を、そうでなければ、そんなに慌てることもない
……といったと
  ころです……。


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